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銀粘土作品ができるまで3

実験室を開いてから結構長いのだが
今まで銀粘土作品を紹介している割には
どうやって作るのかについてほとんど書いていないことに気が付いた。
そこで、何度かに分けて銀粘土作品ができるまでをご紹介。
ご興味があればお付き合いください。

注:基礎の部分は別として、デザインからの展開や
制作方法は人によってさまざま。
なので、これからご紹介する方法は

「ああ、こういう方法もあるのね」
「この人はこうやって作るんだな」

位にお考えください。

また、順番に読んで頂いた方がわかりやすいので
もし前回記事をご覧になっていない方はぜひこちらからご覧ください。

~第1回・何を作るか考える~
~第2回・デザインを考える~

前説が終了したところで本題。
今回長いのでお時間のある時にお付き合いください。

~第3回・ねりけしでモデルを作る~

第1回で「実際に使えて鞘にしまえるサイズの『うさぎの菓子楊枝』
を作ることを決め、第2回で波にうさぎが飛ぶデザインを考えた。

ならばここで銀粘土で制作・・・!と行きたいところだが
その前にねりけしでモデルを作ろう。

実作の前にねりけしでモデル制作をさせる教室はほとんどないと思う。
師匠がこのスタイルで指導されていたのだが
非常に合理的だと思うのでわたくしも踏襲している。

ではなぜ実作の前にねりけしでモデル製作をするか。
そこには3つの理由がある。

1.描いたデザインが本当に作れるかを確認する

絵と言うのは実は大変ウソツキである。
なにしろ3次元の立体を2次元に描いている段階で実はかなりのウソがある。
そして恐ろしいことに、絵には「3次元では制作不可能な図形」も描けてしまうのだ。
なので、考えたデザインが本当に制作可能か、ひとまず作ってみる。

2.制作の工程を確認する

実際にモデルを制作してみることで
これから自分がどの手順で制作していくかを確認する。
また、このモデル制作をすることで、頭の中で考えていたのとは
手順を変更した方が合理的な場合もあるのでそこの洗い出しもする。

特に体験講習を受講する初心者などの場合
銀粘土をどういう手順で扱うかを知らないので
この段階で体にたたきこみ(笑)練習も兼ねる。

なぜこの2つが必要かと言うと、銀粘土は非常に乾燥が早い。
作り始めてから考えているとあっという間に乾燥してしまい
最悪7g1659円(税込・2012年5月現在)のゴミができあがってしまう。
銀粘土をけちらず使うことで作品のクオリティが上がるなら
それは必要なことだと思うが
下準備や工程の工夫で省ける無駄は省くべきだとわたくしは思う。
この不景気に無くても生きていけるのに
生徒さんはあえて趣味として銀粘土を選んでくれたのだから
講師として、今までの経験や知識でカバーできるロスの削減は
最大限伝えたいと思うのだ。
自動車だってデザイン画からいきなり実物を作るのでなく
とりあえずクレイモデル作ってみたりするしね。

そして

3.銀粘土の必要量を見積もる

事前にモデルを作ってみることで

「もっと大きい(小さい)方が良いのでは?」

などを考えることができる。
また、リングの場合は重量が収縮に影響するので

「これを作るために何gの銀粘土が必要か」

というのは大変重要だ。

さて、体験講習の場合ねりけしでモデル制作をさせる
重要な理由がもう一つある。

4.受講者が何を作ろうとしているのかを知る

普段絵やクラフトと無縁の受講者さんが作りたいものを
絵に描けるというのはまれである。
そこで頭の中のイメージをねりけしで作って頂くのだ。

「ああ、こういうものが作りたいのか」

というのがこちらにはっきり形として見えれば

「ここは細くて折れてしまうかもしれないのでもう少し太くしましょう」
「この厚みではなかなか乾かないのでもう少し薄くしましょう」
「この形は一気に作るのが大変なので、手順を2つに分けましょう」

など、事前にアドバイスすることができるのだ。

また、ねりけしで作れた形が絶対銀粘土で作れるとは限らないが
ねりけしで形作れないものは銀粘土でほぼ作れない。
初めての銀粘土講習で舞い上がっている受講者さんに
ご自分はどこまで作れるか、ちょっと冷静になっていただける利点もある(笑)

ではさっそくねりけしスタンバイ。

ねりけし

7gパックの銀粘土とほぼ同じ大きさにしてある。
ねりけしは乾燥しないし再利用可能なので、この段階で
好きなだけトライ&エラーを重ねておく。

ねりけしスタンバイ!

普段こんな感じで7gパック分のねりけしを作って用意してある。
缶にいれてあるのは、けしごむやねりけしには柔らかくしておく成分が入っていて
樹脂の種類によっては接した面を溶かしてしまうことがあるためだ。
子供の頃、プラスティックか何かのペンケースにむき身で消しゴムを入れておいたら
ペンケースが溶けちゃった、なんてことないだろうか。

ではいよいよモデル制作スタート!

1.ねりけしを半分にギュッと折る

二つに折る

2.もう1度半分にギュッと折って4つ折りにする。

もう一度二つに折る

1.2.では銀粘土の中の空気を押し出すように。
ただし、指の熱で乾燥しないように素早く。
※画像がちっとも4つ折りに見えないのは押しすぎたため(^^;)
こんなに押しつぶさなくて良い

次に使うのはじゃーん!秘密兵器!

ねりねりくん

この道具、名前は「ねりねりくん」
冗談でなく本当です
師匠が開発したツールで、センターのくぼみの角度が非常に計算されていて
直接粘土を手で触ることなく綺麗に練ることができるのだ。
東急ハンズその他クラフト材料店で購入可能。
ねりねりくん、実用新案登録済み☆

3.2.で4つ折りにしたねりけしを作業台に乗せ、ねりねりくんでふたをする

作業台の上でねりねりくんで銀粘土にふた

4.ねりねりくんの両側を手で挟んで持ってころころ転がす

ころころ~

こうやって転がすのに、パッケージに入ってるコイン型だと転がしづらいので
1.2.で4つ折りにして団子状にしたのだ。

5.しわがなくなればOK!

しわがなくなればOK

押しつけ過ぎると粘土が作業台やねりねりくんにべたーっと貼り付いてしまうし
おっかなびっくりそろそろと動かしているとしわが取れないうちに乾燥して
ひびが入ってしまうので、ここはちょっと練習が必要。
(ねりけしは乾かないのでいくら練習しても大丈夫!)
1秒間に1度回転する、くらいのスピードで20回も回せば
普通はしわがとれてなめらかになる。

この「練り」で何をしているかと言うと。
銀粘土は非常に微小な銀の粒子、水、バインダー(のり)でできている。
形を作って乾燥させることで水分がなくなり
焼成することでバインダーが焼け飛んで
残った銀粒子で99.9%銀の作品が出来上がる、というのが
銀粘土の仕組みだ。
パッケージされて出荷された状態では勿論ベストのコンディションだが
出荷されてから自分が開封するまでどれくらい時間が経っているかわからない。
その間に多少バランスが乱れているので
なるべく粒子を均一の状態にしてコンディションを整えるのが
練りの目的だ。
技法書にあまり詳しく書かれていないが、実はこの「練り」が
全工程中最も重要で、練りの良し悪しが
最後の作品の輝きを左右すると言っても過言ではない。

また、ねりねりくんの動かし方によって粘土が球形でなく
そろばん型になることもあるが、しわがなくなっていればOK。

ここまでが粘土(本番の場合)のコンディションを整える準備。
ここから形を作る工程に入る。
まずは菓子楊枝の刃の部分。

6.必要な分だけ切り取る

必要な分だけ切り分ける

くどいようだが、出来る限り手の熱を伝えないのがポイントなので
(乾燥によるひびを防ぐ為)
切り分けも道具を使う。
画像で使っているのは「細工カンナ」というスパチュラの一種。

7.使わないねりけしはねりねりくんでふたをする

使わない粘土はねりねりくんでふた

ねりけしの場合は乾燥しないので必要ないが、銀粘土の場合
切り分けた粘土でパーツを作る間、使わない方を放置しておくと
パーツができあがる頃には乾燥して使えなくなっている。
そこで使わない方をねりねりくんでカバーして乾燥防止。
パーツが作り終わったら使わない粘土をラップに包んで
銀粘土のパッケージに戻してやるのだが
その作業を先にしているとパーツ用の粘土が乾燥してしまうので
暫定措置。もちろんパーツ用粘土を一時ねりねりくんでカバーして
使わない粘土をラップしてパッケージに戻してから
パーツ制作をしても構わない。
特に初心者を指導するときにはねりけしの時からこの作業をさせて
手順としてインプットしておく。

2012.6.4 pm20:03 追記
記事を作成しているときは気が付かなかったのですが
使わない粘土をねりねりくんでカバーしておいて
パーツ用粘土をねりねりくんでもう一度転がしてからひもにする、という順序だと
ねりねりくんが2つ必要です。
うちには体験講習用含めねりねりくんが10個以上あるのでこういう順序でも
出来てしまいますが、普通はねりねりくんは持っていても1個だと思いますので

1.切り分けたパーツ用粘土をねりねりくんでカバーする
2.使わない粘土をラップでくるんでパッケージに戻し、密封する
3.パーツ用粘土をねりねりくんで再び球形にして、プレートで紐にする

の順番の方が合理的だと思います。

また、最初から使う分の粘土だけを切り出してねりねりくんで練ることも出来ますが
7gパックから必要量を取り出すと、小さすぎてねりねりくんで練れない場合があります。
その場合最初にねりねりくんで7g全体のコンディションを整えておいて
切り分けてからひもまたは板状にするために球形にする場合は
プレートなどで転がす、の方がうまく行くと思いますよ。
(追記ここまで)


8.プレートを転がしてひもを作る

プレートで紐状にのばす

切り取ったパーツ用のねりけしを再度ねりねりくんで球形にし
作業台の上でプレートを使ってひも状に伸ばす。
わたくしは作業台と伸ばすためのプレートの両方に
アクリルプレートを使っているが
ご家庭にあるものだったら作業台にクリアファイル
プレートにいらないCDケースなどでもOK。
透明の方が粘土の状態が見えるのでおすすめ。

ところでひもに伸ばすときにうっかりねりけしがプレートからはみ出していることがあるが
これは絶対にダメ。

はみ出し禁止

板がはみ出し部分に傷を作ってしまい、最悪の場合
そこからちぎれてしまうことがある。
長いひもを作りたいならプレートを横にするなどして

長いひもなら板を横に
ひも全体がプレートの中に入るようにしよう。

9.ひもの先端を細くする

菓子楊枝の先端はとがっているので先端を細くしよう。
プレートを斜めにして転がすと・・・

プレートを斜めにして転がすと

先端が細くなる

先端が細くなる

10.プレートで平たくつぶす

プレートで平たくつぶす

プレートで上からプレスしてひもを板状につぶす。
おお!菓子楊枝の刃っぽいものが!!

この時、ねりけしは平気でも銀粘土はプレートに貼りついてはがれなくなるので
上下を忘れずにクッキングシートで包んでプレスする。

では次に波を作ろう。

11.両端が細い紐を作る

同じ要領で紐を作る

6.~9.と同じ要領で、両端が細い紐を作る

12.端から丸めて波型を作る

くるくる~

ここはさすがに手を使って丸める。手早く。

波できあがり

大小の波が出来た。

最後にウサギ。

13.しずく型を作る

短いしずく型

ものすご~く短くて太めの片方が細いひもにする

14.頭と胴体を作る

先を曲げて

細い方の先端を曲げて頭に、あとはつまんだりつぶしたりしながら
頭と胴体を形作る。手早く。

耳と手足を足してウサギ

耳と手足をつけてウサギのできあがり。

15.合体!

楊枝の刃、波、ウサギを合体させる。

合体!

前回考えたデザイン画に近くなったかな。

うさぎ菓子楊枝決定稿

さて、銀粘土はパッケージを開けてから形を作るまで

1分以内ならプラチナの輝きに
2分以内ならシルバーの輝きに
3分以上かかるとアルミの輝きに

なると言われている。
とにかくスピード勝負!
パッケージを開けたら電話が掛かろうが来客があろうが無視して作りきらないとダメ。

菓子楊枝全部を1分で、は無理だが

楊枝の刃

ウサギの頭と胴体
ウサギの脚
ウサギの手
ウサギの耳

をそれぞれ1分以内で作ることならできる。
合体や模様を彫りいれる場合は乾燥させてからなので
この1分にはノーカウントなのだ。
なので、

1分以内に作れるパーツに工程を分ける

ことが重要だ。

ねりけしでモデル制作する重要性をお分かりいただけただろうか(笑)

初心者の場合、まずモデルを作らせ
良い形が出来たらそれを見本によけておいて
別のねりけしでそれぞれの作業を1分以内で出来るようになるまで繰り返させる。
ここまですればバッチリ作業がインプットされるので
本番でまごつかない、というわけ。

ではここまで来たら次回はいよいよ本制作に入ろう!

☆作り方連載・銀粘土作品が出来るまで
~第1回・何を作るか考える~
~第2回・デザインを考える~
~第3回・ねりけしでモデルを作る~ ←いまここ
~第4回・銀粘土で制作する・1~
~第5回・銀粘土で制作する・2~
~第6回・銀粘土で制作する・3~
~第7回・焼成~
~第8回・仕上げ(磨き)~
~第9回・実際に使ってみる~


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