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自分史~Heartbiography~33才・永遠の別れ

33才・永遠の別れ

自分史~Heartbiography~の個別紹介。
全体像はこちらをご覧ください。

10番目、永遠の別れ。
この年に非常に辛い別れを2度経験した。

まずは伯父の死。
前年の年末に脳腫瘍の摘出手術を受け
それが癌転移によるものだとわかり、余命宣告を受けていた。
この伯父はわたくしの母の姉の夫で
どういうわけだかわたくしは子供の頃からこの伯母夫婦に妙に懐いていた。
弟が生まれる時にも伯母のところに預けられたし
大学は4年間、伯母宅から通った。
大学は違うが、わたくしの専攻は伯父と一緒。
よく女の子は父親に似たタイプの男性を選ぶなんて言うが
うちのダーリンは明らかに父ではなくこの伯父に似ている。
伯母夫婦にも子供がいないのでいいように可愛がってくれたし。

子供のいない夫婦なので、伯父の看病も手術の付き添いも
伯母一人ではあまりに辛すぎる。
ダーリンが全面的にバックアップしてくれたこともあり
時間を作っては伯母のところへ行き、一緒に病院に通った。
どんどん衰えて意識も混濁してく伯父を見ていると
早く楽にしてあげたい、という気持ちと
どんな形でもいいから生きていて欲しい、という気持ちがないまぜになり
狂気の中に落とされたかのようだった。
姪のわたくしでさえこうだったのだから伯母がどれほど辛かったことか。
余命宣告されて以降、恐ろしい緊張感の続く日々の中
亡くなった日の夜は

「ああ、もうこれで今日死んでしまうかもしれない、って心配は
 しなくてもいいんだなあ」

とぼんやりと思ったことを良く覚えている。

まだ64歳だったのに。
これからずっと楽しい時間を過ごしたかったのに。

そしてそれから半年と経たないうち
今度は仕事をしていた時の職場の先輩が亡くなった。
当時まだ35才。
いつも朝早いのに起きてこないな、と
ご家族が部屋へ様子を見に行ったら、冷たくなっていたという。
同じグループの先輩で、いつもプリプリと怒りながらも
とても面倒見のよい方だった。わたくしと1年後輩の男性とは
この先輩にドキュメントのまとめ方、電話でのユーザーさんの
オペレーション対応の仕方・・・と色々なことを
いちから教えて頂いたのだった。
亡くなる直前に遊びのお誘いをいただいたのだが日程が合わず

「ま、おまえさんとはまたいつでも会えるからな」

と日延べしていただいたのに、結局2度と会えなくなってしまった。


例え幾つになっていても人の死は悲しいのだが
せめて85才を超えていてくれればまだ「頑張ってくださってありがとう」
と気持ちの持って行きどころがある。
だが、若すぎる死はもうどうしたらいいのか。

どちらにも、あんなにお世話になったのにきちんとありがとうと言えなかった。
10年以上経つ今でも、思い出したりこうして彼らの事を
書いたり話したりすると涙が出てきてしまう。

だが、この時を境に確実に自分の中で変わったことがある。

普段は忘れているけれど、人間は必ずいつか死ぬのだ、と。
それが10年後なのか30年後なのかそれとも明日なのかはわからないが
1日生きることは1日死に近付くことなのだと。

もしかしたら、明日死ぬかもしれない。
だとしたら今日何をしたいのか?
そこを基準に考えると、物凄く思考がシンプルになる。
それまでに(これでも)気にしていたしがらみだったり
周囲にどう思われるかといったことは本当にどうでもよいわけで。
日々小さな悩みはもちろんあるが
人生の残りの時間を考えると悩みに貴重な時間を費やすこと自体が勿体ない。
せめて少しでも前に進むことに使いたい。
美大で勉強することを決めたのも、銀粘土の講師になることにしたのも
ここからあとの話だ。

デザインはハートからハート型のチェーン通しになる穴をくりぬき
ひび割れの様な傷を作っていぶしをかけた。
心にぽっかりと空いた穴は2度と塞がることがない。
18の時の、絆創膏を貼っておけばそのうち治る傷とは大違いだ。
年を重ねれば誰でもこういう穴が増えていく。
塞ぐことはできないけれど
そこに楽しかった思い出や感謝の気持ちを埋めて行くことはできる。
そして、心に穴をあけるほどの強烈な繋がりを持てたことに
せめて感謝しよう、というのが現在の自分の気持ちのおとしどころだ。

このお二人には伝えることが出来なかったけれど
大事な人たちに機会あるごとにありがとうと伝えることは忘れずにいたい。
友達や、家族や、先輩方や銀粘土を学んでくれている生徒さんや卒業生たち。
いつもいつもありがとう。今日のわたくしがあるのはあなたのおかげだ。

そして、ここを読んでくださっているあなたにも、どうもありがとう。

7g制作
2005年3月制作
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