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県庁おもてなし課

県庁おもてなし課

大好きな作家、有川浩さんの新刊「県庁おもてなし課」
日頃はハードカバーは買わず図書館で借りて読んで
文庫になるのをじっと待ち、文庫化してから買ってまた読んで、ということにしている。
なぜかって?
ハードカバーって場所とるじゃないか!!
ただでさえ様々なクラフトの材料や工具、資料
そしてダーリンの楽器と機材(ダーリンの趣味は料理とギター演奏)
で溢れかえる我が家は収納に一苦労なのだ。

ではなぜ今回原則を曲げて新刊のハードカバーを購入したか。
それは作者の有川先生が
この本の印税をすべて東日本大震災の被災地へ寄付されるとおっしゃるので。
その男気にファンとして応えねばなるまい!!
(注:有川浩さんは女性作家です)

小市民の自分としてできることは限られているので
自分の欲しいものを買ったらそれが被災地にちょっと役に立つかも、
というのはとっても嬉しい。
仙台で営業を再開した蔵元さんから美味しいお酒を取り寄せている友達や
被災地に寄付や救援物資を送ってくれた企業の商品を買って
後方支援の後方支援する友達、などみんな少しずつ工夫していたりして。


さて、この「県庁おもてなし課」。
舞台は高知県庁観光部に新しくできた「おもてなし課」。
主人公・掛水史貴は入庁3年目の25歳。
若手ばかりを集めたおもてなし課でも一番の若手。
おもてなし課初のプロジェクトとして
高知出身の著名人に観光特使を依頼するが
掛水が担当した人気作家・吉角喬介にいきなり

「バカか、あんたらは。」

とダメ出しを食らう。
でも、一体何がダメなんだ!?(←既にもうここがダメ)
3年間どっぷりつかった「お役所」と民間の間には
意識もなにもかもの間にマリアナ海溝よりも深い溝があって・・・
どうするおもてなし課?高知は観光立県を目指せるのか!?


・・・予想はしていたが、あまりに面白くて一気読み(笑)
これから読まれる方のために詳しい内容には触れないが
いわゆる「お役所仕事」と言われるもの
実はこれはお役所に限ったことではないと思う。

あまりに閉鎖的な世界にいたり長く同じ世界にいたりすると
そこでのルールが絶対になってしまったり固定概念に縛られる、というのは
実はよくあることではないかと思う。

自分がまだ某企業の新入社員だった頃
自分自身のあまりの使えなさに凹みつつ
早く実力をつけて周囲の役に立てるようになりたいと
焦っても仕方のないことで焦る一方
新人にはありがちなこと(^^;)
「今しかできない仕事をしよう」とその機会を虎視眈々と狙っていた。

新人にとっての「今しかできない仕事」とは何か。
それは、その世界にずっといる先輩や上司たちには
当たり前になってしまっていることに対して
「何故?」と発信していくこと。
それが当たり前になってしまって見えなくなっている事でも
何のフィルターもかけていない視線で見ると不思議なことがいくつもある。
もちろん理由があってそうなっていることもあるし
あまり理由はないのだけどなぜか慣例的にそうなっていて
実は改善の余地があった、なんてことは
ベテランには却って見つけづらかったりするのだ
・・・我ながらかわいくないな~(^^;)
そのあたりを「何も知らない新人風情が」で片っ端から却下していくか
「それは面白いな」で取り入れていくかはまさに受け手の度量なのだが
ありがたいことにわたくしがいた職場は先輩方も係長も課長も部長も
みなさん柔軟性があって器が大きかったので使えるものがあれば拾い上げて下さった。

自分が入社4年目くらいになって少し周りが見えるようになった頃
新人教育向けの教育資料を作ることになった。
プログラミングの社内オリジナル言語説明書である。
新人の時自分に何が疑問だったか、何がわかりづらくて困ったか。
多少スキルが上がった分だけそのあたりの感覚を忘れてしまっている。
ではどうすればよいか?
答えは簡単。
社内で一番新人に近い視線と記憶を持っている人の力を借りればよい。
というわけで、入社2年目のメンバーを集めて原稿を作り
チェックは上の方でして編集する、というスタイルをとった。
狙いはあたって、新人からもわかりやすいと好評を得られるものが出来上がった。
入社2年目の後輩たちが
「入社2年目にしかできない」仕事をしてくれたおかげなのだ。

固定概念を外す、とか発想を転換する、とかいうのは
口で言うほど簡単なことではないが
誰かの視点を借りてみる、というのは意外と有効な方法かもしれない。
新人の視点を借りるのはもちろんのこと、ベテランの視点をお借りしたり
時にはまったく違う世界の方の視点を借りてみたり。
何か突破口が見つけられるかもしれない。

この春新しく社会にデビューされた方。
転職される(た)方。
あなたにしか見えないものが
あなたにしかできないことがきっとあるはず。
残念ながらそれらを受け入れない環境というのも存在するのだが
願わくば器の大きな人々に会えてあなたが輝けますように。

新人達を受け入れる方々。
チャンスです。
彼らを輝かせて、職場に新たな風を吹かせ
更に良い仕事をすすめられるようにできるかどうか
受け入れ側次第です。
存分に彼らを育て、利用してください。


県庁おもてなし課には色々な人が登場する。
多くはどっぷりお役所につかって他のものが見えなくなっている。
民間人から見るとある意味においてはもう使えないことこのうえなし(^^;)
ただし、実は彼らにお役所仕事をさせている原因の一端は
その民間人にこそあったりするのだが。

彼らがこのプロジェクトを通じてどうなっていくか・・・
それは読んでのお楽しみ。


「県庁おもてなし課」 有川浩(ありかわ ひろ)著
角川書店 発行 ¥1600
ISBN978-4-04-874182-8
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