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ステンドグラス「月のウサギ」

ステンドグラス「月のウサギ」

ステンドグラスの授業で制作した「月のウサギ」。
この授業は古典技法として必修科目になっていて
ステンドグラス・モザイク・テンペラ・フレスコの中から
1科目選択することになっていた。
全部履修してみたいじゃないか!と非常に迷うラインナップである。

必修なので各科目かなりの数の受講生なのだが
ステンドグラスの授業は先生(一人)が各教室を回って
工程ごとのチェックでOKを出さないと次に進めないシステムになっていたので
たまたま勘のい学生のそろったうちの教室は
自分達でできることは各教室にいる助手の先生に確認しながら
常に先に先にと作業を進め先生の巡回を待ち構えるスタイルに。

「先生!お待ちしておりました!」

とお迎えすると

「いやあ、参っちゃうなあ。普段女性から待たれることなんてなくって・・・(*^^*)」

そういうことじゃありません先生、と思わずつっこみそうになったが
なんともカワイイのでオウケイ
その後も全員この調子でサクサク作業を進めたため
他の教室とのあまりの進度差に、先生から無理やり
休憩時間を設定されるという珍しいことに。

そんな感じで順調に作業が進み、ガラスもすべてカットして研磨して
H字鋼(黒く見えているガラスを挟む金属の線)もカットして
ガラスにあわせてカーブさせ
あとはハンダ付けをすれば完成、と言う時に義父が急死した。
通信での授業のスクーリングは授業の5/6以上出席のうえ
最終日の講評に出席して評価を受けて初めて単位が認められるので
6日のうち2日間を残して授業を受けられなくなったわたくしは
この時点でこの単位がとれないことが確定した。
こういうところが通学と違って通信の厳しいところだが
こればかりは仕方がない。
翌年再チャレンジだ。

さて、義父の葬儀その他が一通り終わってから
この件で大学に連絡をしてみた。
事情と残りの授業に出席できないことは連絡してあったのだが
バラバラのガラスと鋼線などの材料や工具を置いたままなので
それをどうすればよいか確認しようと思って。
すると着払いで送ってくれるとのこと。
ありがたく到着を待った。

数日後、我が家には想像以上に大きな箱が届いた。
首をかしげながら開梱してみると
中にはハンダ付けをして完成されたステンドグラスと
担当教官だった先生からのお手紙が。
うろ覚えなのだが、先生からのお手紙はおおよそ以下のようなものだった。

お身内にご不幸とのこと、お悔やみ申し上げます。
作業途中だったパーツは弟子に組み立てさせました。
完成したのでお届けします。
ステンドグラスはその通す光により365日違う美しさを見せてくれます。
窓際に置いて、この作品が一番輝く日を探してください。


色々あった後だったので、先生の優しいお気持ちが胸に染みてなんだか泣けた。

今このステンドグラスは、リビングの東窓に置いてあり
毎日いろいろな表情を楽しませてくれている。
元々ステンドグラスは教会建築から始まったもので
建築技法の発展により、大きな窓を作ることが可能になったが
当時大きなガラスを作る技術がなかったことから色ガラスを集めて
1枚にする、という技法が生まれ
光を通すというガラスの性質が聖母マリアの処女受胎とリンクすること
識字率の低かった当時聖書の有名シーンや聖者を表現することが
布教活動に大変有効だったことなどから爆発的に広まって行ったそうだが
大きなガラスを作ることがさほど難しく無くなった現代でも
宗教の枠を超えて、人々の生活を彩るアートとして息づいていることを考えると
なんとも感慨深いものがある。

昨日3月24日は義父の誕生日だった。
生きていてくれたら丁度喜寿のお祝いをしたところだったのだけれど。
手先の器用な人だったので、ステンドグラスの作業方法を教えたら
あっという間に物凄いものを作っちゃったのではないかと思うと
ちょっと笑ってしまう。
なにせ、家の中に勝手にガスの配管工事をして
「これは資格を持ってない人はしちゃいけない工事なんです!」
とガス屋さんに叱られた経歴の持ち主だし。
・・・普通自分でガス管通そうとはしません、お義父さま(^^;)

2003年8月制作
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